本記事は「製菓衛生師を独学で取得した体験談」を元に執筆しています。
「国家資格って独学で取得できるの?」と疑問をお持ちではありませんか?
調理師などと比較すると、少しマイナーな製菓衛生師。
体験談なども少なく、独学で取得可能なのか、それとも学校に通うべきか悩みますよね。
本記事では「使用テキスト」「勉強法」「疑問」「独学に向いている人」まで、体験談を交えながら解説。
受験前に知りたかったことを盛り込みましたので、合格への足掛かりになるはずです。
- 独学で製菓衛生師免許を取得したい人
- 必要なテキストを見極めたい人
- 具体的な勉強方法を知りたい人
- 資格取得を視野に入れている人
- 製菓衛生師のメリットを知りたい人
さっそく見ていきましょう。
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製菓衛生師とは?
独学での勉強法を確認する前に、製菓衛生師に関するキホンをおさえましょう。
そもそもどんな資格?
製菓衛生師は、厚生労働省により定められた国家資格。
「菓子製造業に従事する者の資質を向上させ、公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」が目的とされています。
言い換えれば「製菓技術のみならず、衛生知識も習得している証明」が製菓衛生師ということ。
そのためパティシエはもちろん、パン・和菓子職人も取得している国家資格です。
製菓衛生師としてできること
製菓衛生師を取得するメリットはどこにあるのでしょう?
以下に「メリット」と「日常においてできること」をまとめました。
- 「食品衛生責任者」になれる…開業時の必須資格なため、自分のお店を開きやすい
- 製菓衛生師として名乗れる…就職先で昇給や昇格しやすい・ビザ申請がしやすい
本来「食品衛生責任者」は講座を受講する必要があります。
食品衛生責任者との違いや、取得のメリット・活かせる仕事を知りたい方は以下の記事もおすすめです。
試験について
独学で製菓衛生師を目指すにあたって、受験資格や内容の確認は大切。
試験に関する詳細を見ていきましょう。
受験資格
受験するには、どちらかの条件を満たす必要があります。
- 製菓衛生師養成校(都道府県知事の指定)にて1年以上必要知識・技能を修得した人
- 中学卒業以上で、菓子製造業の認可を受けた店舗等で2年以上製菓業務に従事した人
つまり専門学校等で学ぶ場合は、1年以上通い続けることで受験が可能に。
独学の場合は、菓子製造業の認可を受けたお店にて2年以上の勤務経験が必要になるということです。
実務経験の詳細は以下の記事がおすすめです。
試験範囲と合格基準
製菓衛生師試験の出題範囲は以下です。
すべて4択のマークシート形式で出題されます。(実技問題も含む)
名称 | 主な内容 |
1.衛生法規 | 法律、製菓衛生師法の概要、関係法規大意 |
2.公衆衛生学 | 公衆衛生学の概要、環境衛生、疾病の予防 |
3.食品学 | 食品学の概要、変質とその防止、生産と消費 |
4.食品衛生学 | 食品衛生学の概要、食中毒、食品添加物、食品汚染有害物質、衛生管理 |
5.栄養学 | 栄養学の概要、栄養の働き、栄養生理、栄養摂取 |
6.製菓理論 | 「洋菓子」「和菓子」「製パン」の分野選択 |
7.製菓実技 | 「洋菓子」「和菓子」「製パン」の分野選択 |
合計得点が満点中の6割以上だった場合、合格判定となります。
ただし、関西広域で受ける方は注意が必要。
1科目でも平均点を著しく下回る科目があると、不合格判定となってしまいます。
自分が受験する地域の合格ラインを把握しておきましょう!
独学で合格した体験談
筆者は2020年度の試験にて、製菓衛生師を独学で取得しました。
当時の体験談をもとに、役立つであろう情報をまとめていきます。
使用したテキスト
1人で勉強するにあたり、以下2冊を使用しました。
- 解いて分かる製菓衛生師の手引き(廃棄してしまい、上の画像には載っていません…)
- 製菓衛生師試験問題集
「1.解いて分かる製菓衛生師の手引き」は、説明・解説・出やすい箇所などが記載されていたため、教科書として使っていました。
「2.製菓衛生師試験問題集」は、実際の問題に慣れるための練習・アウトプットを目的として使いました。
どちらも充実した内容で、二冊だけでも十分知識が身につきました。
ちなみに問題集は、自分の進捗に合わせて増やすことで、より自信がつきますよ!
各テキストの詳細・購入は以下からどうぞ。
テキスト購入時の注意点は、出版年の古いものは使わない方がいいということ。
なぜなら、法律等の変更に対応しきれていない可能性があるからです。
独学では、テキストがすべて。
講師に質問することはできません。
そのため、出版年を確認した上での購入をおすすめします。
勉強方法
筆者は、以下の順番で勉強を進めました。
- 製菓衛生師の手引きを分類ごとに読む・覚えやすいように書き込む
- すぐに問題を解く(答えを見ながらでもOK)
- 答え合わせをして解説を読む(1と2を繰り返して1冊終わったら…)
- 製菓衛生師試験問題集に取り組む
- 1冊をとりあえず1周解いてみる(必ず解説・製菓衛生師の手引きで確認)
- 2周目で間違えた問題は、☑をつける
- 3周目は間違えた問題(☑マーク)と出やすい問題(☆マーク)を重点的に解く
- 余裕があれば4周目または、2冊目の問題集へ
ちなみに製菓衛生師の手引きには、以下の内容を書きこみました。
- 単語や分類の覚え方
- 文章のイメージ
- 勤務先での知識の使われ方
試験日当日は製菓衛生師の手引き1冊だけを持ち込み、ギリギリまで復習しました。
ちなみに「覚え方」は、語呂合わせが多かったです。自分でつくったりネットで調べたり、分かるように工夫しました。
勉強時間・およそのスケジュール
筆者は試験の2カ月前から、一日2~3時間程度勉強しました。
当時はパン屋での仕事と同時並行で、空き時間を見つけては勉強にあてていました。
勉強時間と、およその勉強内容は以下の通り。
1日の勉強時間 | おおよその勉強内容 |
朝の通勤時間(30分ほど) | 製菓衛生師試験問題集に取り組む(☑をつける) |
お昼休憩 | 間違えた問題の解説を読む |
帰りの通勤時間 | ☑をつけた問題をもう一度解く |
寝る前(1時間~2時間) | ・製菓衛生師の手引きを分類ごとに読む・書き込む ・翌日、読んだ部分の問題にチャレンジ! |
すぐに問題に取り組むことで、正解が自信につながり頭にも入りますよ!
受験してみての感想
一番に思ったことは「問題集通りだったな」ということです。
私は過去問を覚えるくらい解いていたので、「あの時のこれだ!」とすぐ思い出すことができました。
ただ、少し焦ったのは最後の実技問題です。
パン屋で働いていたため「製パン」中心で学習していましたが、読み進めるうちに自信がなくなり、結果「洋菓子」を選択しました。
おそらく、実技は問題数自体が少ないため対策しきれていなかったのだと思います。
以上の経験を踏まえた、テストの注意点は以下のとおり。
- 実技問題は、勉強中に「洋菓子」「和菓子」「製パン」すべてを網羅
- 問題文をよく読む
- 見直しはしっかり!
- 焦らず落ち着いて取り組む
ほとんど当たり前の内容ですが、確実に正解するために意識してみてください。
製菓衛生師に関する質問4選
製菓衛生師を独学で勉強していくにあたり、筆者が疑問に感じていたことをまとめました。
独学の向き不向きは?
独学に向いているのは「スケジュール管理ができる人」「自分を律することができる人」です。
なぜなら、実務経験(仕事)と両立しなければならないからです。
学校のように決められていないため、意識的に勉強時間を捻出する必要があります。
自分自身の実力を把握したうえで、やるべき箇所を見極めなければいけません。
そのため「スケジュール管理できる人」「自分を律して勉強できる人」は適性があるといえます。
合格するための勉強時間の目安は?
独学での勉強時間の目安は公表されていません。
筆者の場合は試験の2カ月前から、一日2~3時間程度を勉強時間に当てていました。
1ヵ月前からでも合格できた人もいたため、まちまちです。
製菓衛生師とパティシエの違いは?
パティシエは職業名で、製菓衛生師は資格名です。
資格を持っていなくても、パティシエは職業名として名乗ることができます。
製菓衛生師 独学での難易度と合格率は?
年により異なりますが、おおむね60%~80%です。
国家資格の難易度としては易しい試験といえます。
ただ、具体的に数値として出ているわけではありませんが、独学での受験の方が合格率が低いです。
独学は製菓衛生師に受かる? まとめ
本記事では「製菓衛生師を独学で取得した体験談」を元に解説してきました。
- 製菓衛生師は製菓技術・衛生知識を習得している証
- 合格率は60%~80%
- テキストは解いて分かる製菓衛生師の手引きと製菓衛生師試験問題集でOK
- 独学でも2カ月間2~3時間で合格できた
- 独学向きは「スケジュール管理ができる人」「自分を律することができる人」
筆者は勉強が得意ではありません。
それでも取得できたため、誰でも努力を積めば合格できると思います。
自信を持って頑張ってください!
最後まで読んでいただきありがとうございました。